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宅録ナレーターのための電源ノイズ・EMI対策完全ガイド|PCファン・エアコン・冷蔵庫を音源別・周波数別に攻略

宅録ナレーターのための電源ノイズ・EMI対策完全ガイド|PCファン・エアコン・冷蔵庫を音源別・周波数別に攻略 - 宅録の強みに関する解説記事

宅録ナレーターにとって「静か」は機材より先に設計するもの

宅録で厄介なのは、マイクの性能不足よりも、家庭環境に潜む電源ノイズとEMI(電磁干渉)です。しかもこれらは「何となくうるさい」で片づけると改善しません。実務では、音源別周波数別に切り分けるのが最短です。

まず大きく分けると、ノイズは3種類あります。
1つ目は空気を伝わる騒音。PCファン、エアコン、冷蔵庫のコンプレッサー音など。
2つ目は電源由来のハム・唸り。50Hz/60Hzとその倍音(100/120Hz、180Hzなど)が代表例です。
3つ目はEMI/RFI。USB給電、Wi‑Fiルーター、ACアダプター、LED照明、スマホなどから混入する高周波系のノイズです。

収録前に、無音状態を10秒録ってスペクトラムアナライザーで確認してください。Audacity、iZotope RX、REAPERのReaFIRなどで十分です。
目安は、ナレーション用途なら無音部の平均ノイズフロアが-60dBFS以下、理想は-65〜-70dBFS。これを下回れない場合、編集で消すより先に原因特定を行うべきです。

音源別の対策:PCファン、エアコン、冷蔵庫は性格が違う

PCファンノイズ

PCファンは、低い風切り音と、高めの回転成分が混ざります。多くは100Hz〜800Hz付近に山が立ち、機種によっては1kHz前後に耳障りなピークが出ます。
対策は「消す」より「離す」が基本です。マイクからPC本体を最低1.5m、できれば2m以上離し、机の直置きを避けて床側に置く。さらに、吸気口を塞がない範囲でPCの向きをマイク背面側へ逃がします。

設定面では、BIOSや専用ソフトでファンカーブを見直し、収録時だけ静音プロファイルに切り替えるのが有効です。ノートPCでも、充電しながら高負荷状態にすると急に回るため、ブラウザのタブや同期アプリを閉じるだけで改善します。
編集では、一定成分なら狭いQで軽く削れますが、回転数が変動するファンはノッチEQだけでは追いきれません。こういう場合は広帯域ノイズとして学習型除去を薄く2回かける方が自然です。

エアコン

エアコンは宅録の難敵です。送風音は200Hz〜4kHzに広く分布し、特に声の明瞭度とぶつかる1kHz〜3kHzが問題になります。さらに室外機や配管振動が床・壁経由で入るケースもあります。
収録中は停止が理想ですが、夏冬は現実的でないことも多い。その場合は、先に室温を整えてから短時間で録る、または風量を最弱に固定するのが有効です。自動運転は風量変動でノイズプロファイルが変わるため不利です。

マイク位置も重要です。エアコンの風の直線上を避け、できれば壁に対して斜めに立つ。コンデンサーマイクは微細音まで拾うため、環境が厳しい日はダイナミック系の選択が有利な場合もあります。

冷蔵庫

冷蔵庫は常時うるさいというより、コンプレッサー始動時の低周波が厄介です。主に50Hz〜200Hzの唸り、さらに微振動が乗ります。キッチン隣接の部屋では、録り始めは静かでも途中で急に入ることがある。
対策は、収録前に冷蔵庫の動作周期を観察することです。10〜20分のサイクルで動く機種なら、止まった直後に収録を開始するだけで成功率が上がります。どうしても厳しい場合は、短時間だけ製氷や急冷モードを切り、録音後すぐ戻す。食品安全上、長時間停止は避けてください。

周波数別に見る「除去の考え方」

50Hz/60Hzとその倍音は、電源ハムの典型です。原因はアース不良、電源タップの質、アンバランス接続、オーディオIFとPCの給電系など。
この帯域は、まず物理対策を優先します。

  • マイク・IF・PCを同一電源タップにまとめる
  • USBハブ経由を避ける
  • 可能ならバランス接続を使う
  • ACアダプターとオーディオケーブルを束ねない
  • 電源ケーブルとマイクケーブルは直交させる

それでも残る場合のみ、50/60Hz、100/120Hz、180Hz付近にノッチEQを入れます。ただし、男性の胴鳴りや部屋鳴りまで痩せさせないよう、深く削りすぎないこと。
一方、200Hz〜800Hzは家電の機械音が多く、声の厚みとも重なります。ここは大胆なカットより、マイク距離・指向性・音源との角度でS/Nを稼ぐ方が安全です。
2kHz以上のチリチリしたノイズは、LED照明、スイッチング電源、スマホ近接、USBノイズが疑わしい。照明を一つずつ切る、スマホを機内モードにする、USBケーブルをフェライトコア付きに替えるだけで改善することがあります。

現場で効く「5分診断」の手順

私が宅録チェックでよく使うのは、次の5分診断です。
1. 無音を10秒録る
2. エアコンON/OFFで比較する
3. PCファンが回る作業を止めて再録する
4. 冷蔵庫・換気扇・照明を順番に切る
5. ケーブル配置と電源タップを変えて再確認する

このとき、耳だけでなくスペクトラムで「どの帯域が何dB下がったか」を見ます。例えば120Hzが6dB下がれば電源由来、3kHz付近のザラつきが消えればEMIの可能性が高い。
宅録の強みは、スタジオのように大掛かりな工事がなくても、生活音の発生源を自分で管理できることです。だからこそ、感覚論ではなく、音源別・周波数別に潰していくと、収録品質は一段上がります。静かな部屋は偶然できるものではなく、再現可能な設計です。

小林将大 | プロフェッショナル ナレーター

小林 将大 Masahiro Kobayashi

Professional Narrator

企業VP、CM、ドキュメンタリーなど年間300本以上のナレーションを担当。
高品質な宅録環境を完備し、スピーディかつ最高水準の音声データを提供します。

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